Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
「それだけかの」
と、夢窓はややものたらない顔をして。
「まこと、怨霊鎮めなどが目的でなく、正しい仏法の光揚なら、この夢窓も其許の建立を手伝わぬわけにはゆかんが」
「では、ご承諾給わるか」
「しかしわしが開基となれば、自然、その発願の趣旨もちと違ってくるがの」
と、夢窓はまず断わって。
「法の道場に呉越はない。一視みな御仏の子じゃ。しかるに、そこもとたちがひきおこした戦争のために、殺された者はそのかずも知れん。死者につながる遺族らまでをあわせれば、今日に哭く者は幾十万か。これは一人の天子の死といえど物の数ではなく、一人の将軍の追善などでも埋まらんものじゃ。……もしそこもとの発願が、一帝の慰霊や、自己の申しわけのような小乗心にとどまらず、心から民に詫びて、尽未来、世をよくおさめんと懺悔しての誓願であるならば、なんぼうわしもよろこんで、片棒をかつぐ気になるかもしれんが」
「おことば、身にこたえまする。もとより尊氏の心もそこにないのではございません」
尊氏は帰るとさっそく朝廷に奏請して、亀山殿のあとを一大寺とする手つづきをすませ、高ノ師直と細川和氏のふたりを、
暦応禅寺造営奉行