Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記 (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.638 Zeichen · 233 Bildschirme
語尾は、嘆声を曳いていた。
「…………」
師直の眼はそういう道誉の面をらんと見すえたまま一語も聞きのがしていなかった。どす赭い滲みを巨大な鼻の辺に吹き出して、しかもなおいつまでも黙っていた。ぶすっと、言い出したのは間をおいてからだった。
「むむ、およその見当はついたが。……しかし道誉どの。そこまで申しながらなぜいわんのだ。相手の名を。相手をよ」
「その主謀は」
と、口をにごしながら道誉は言った。
「僧の妙吉、あれにご油断なされますな」
「妙吉?」
師直は、笑いかけた。
「ちかごろ錦小路殿の御帰依で、一条戻り橋に新寺を建立したあの一僧か。あんな禅坊主ならとるにもたらん」
「が、副将軍に深くとりいっているなかなかな奴。そのうえ、その妙吉に箔をつけて、持仏のごとく高家讒訴の脇役をつとめている御一族が二家もある。あなどれません」
二家とは、ほかならぬ上杉伊豆守重能、畠山大蔵少輔直宗。
それと僧妙吉とが結託して、打倒高家の要を、事あるごとに直義へ使嗾し、直義もまた、それに傾いていると、道誉はすべてを吐いたように話した。
この晩――
師直が佐女牛を辞したのは深更だった。それからも道誉とのはなしはいろいろあったとみえる。