Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅうふうふき

秋風不帰

山本 周五郎

Lesen Sie 秋風不帰 (しゅうふうふき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.593 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

「狩谷さま、お待ち下さい」

と呼びながら、矢張り蓑笠を着けた者が一人追いついて来た。

「……誰だ」

「その男をお放しなさいますな!」

云いつつ走り寄って、笠をあげるのを見ると、……町子であった。

――あ!

と思った直ぐ、夏雄は、下郎の衿をひっ掴みながら、ずるずると樹間へ引き摺り込む。

「動くな、声を立てると斬るぞ」

「お町どの……」

「狩谷さま……」

女は身を震わせながら、ふりしぼるような声で男の名を呼んだ。……千万の言葉に優るたったひと言、火のような双眸は、そのまま夏雄の眼の中へ食い込むかと思われた。

しかし、それは実に僅かな間のことだった。

町子は笠を捨てた。黒髪は肩までにふっつり切ってある、夏雄がそれを認めるのを待って、

「七沢さまにお会いなされる前に、わたくしから申上げることがございます」

と、震え声を、懸命に耐えながら云った。

「この度のことはみな御家老小野儀兵衛の計事でございます。くわしい事実はわかりませぬが、お父上さまが御家老の私曲をお知りなされ、城中で問責なさいましたうえ、切腹をお勧め遊ばしたのです。御家老はのっぴきならず、返答にも窮した様子を、側に見ていた御家老付きの者が、うしろからいきなり……」