Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅうふうふき

秋風不帰

山本 周五郎

Lesen Sie 秋風不帰 (しゅうふうふき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.593 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

「旦那さまや、大きい若さまが、大変にお会いなさると、御家来衆は、みんな自分大事にお立退きなされました。父は泣いて口惜しがりました。……旦那様から御生前あんなに目を掛けて頂いた人たちが、一人として御遺骸の始末をして差上げもせず、逃げて了うのですもの、犬畜生の集りだと云って、父は死ぬまで口惜しがって居りました」

「嘉右衛門は死んだのか」

「はい、……お取棄てになった旦那さまと、大きい若さまの御遺骸をそっと運び出し、この谷間へお葬い申しましてから寝つき、わたくしは男装になって馬子をしながら、毎日あなたさまのお帰りをお待ち申していたのですが、今年の春、とうとう死んで了いました」

「……そうか。では……父や兄の墓はここにあるのだな」

「はい、大切にお護り申して居ります」

夏雄はようやく、父や兄の死が実感になって胸へ訴えて来た。

「線香があるか」

「はい、粗末な物でございますけれど」

「出してくれ、お目にかかって来よう」

お高は立って行った。

家を出て、藪を横に廻って行くと、谷の斜面に密生している松林がある。その林の一隅に自然のままの丸石が、二つ並んで据えてあった。……前には一節切の竹筒に、樒と線香の灰がこぼれている。