Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅうふうき
秋風記
Lesen Sie 秋風記 (しゅうふうき) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.011 Zeichen · 17 Bildschirme
寒さが、こたえるのかしら。羽織ないの? おや、おや、素足で。」
「こういうのが、粋なんだそうだ。」
「誰が、そう教えたの?」
私は溜息をついて、「誰も教えやしない。」
Kも小さい溜息をつく。
「誰か、いいひとがないものかねえ。」
私は、微笑する。
「Kとふたりで、旅行したいのだけれど。」
Kは、まじめに、うなずく。
わかっているのだ。みんな、みんな、わかっているのだ。Kは、私を連れて旅に出る。この子を死なせてはならない。
その日の真夜中、ふたり、汽車に乗った。汽車が動き出して、Kも、私も、やっと、なんだか、ほっとする。
「小説は?」
「書けない。」
まっくら闇の汽車の音は、トラタタ、トラタタ、トラタタタ。
「たばこ、のむ?」
Kは、三種類の外国煙草を、ハンドバッグから、つぎつぎ取り出す。
いつか、私は、こんな小説を書いたことがある。死のうと思った主人公が、いまわの際に、一本の、かおりの高い外国煙草を吸ってみた、そのほのかなよろこびのために、死ぬること、思いとどまった、そんな小説を書いたことがある。Kは、それを知っている。
私は、顔をあからめた。それでも、きざに、とりすまして、その三種類の外国煙草を、依怙贔屓なく、一本ずつ、順々に吸ってみる。