Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅうふうき
秋風記
Lesen Sie 秋風記 (しゅうふうき) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.011 Zeichen · 17 Bildschirme
」
それも、おちぶれたブルジョア。罪の思い出だけに生きている。ふたり、たいへん興ざめして、そそくさと立ちあがり、手拭い持って、階下の大浴場へ降りて行く。
過去も、明日も、語るまい。ただ、このひとときを、情にみちたひとときを、と沈黙のうちに固く誓約して、私も、Kも旅に出た。家庭の事情を語ってはならぬ。身のくるしさを語ってはならぬ。明日の恐怖を語ってはならぬ。人の思惑を語ってはならぬ。きのうの恥を語ってはならぬ。ただ、このひととき、せめて、このひとときのみ、静謐であれ、と念じながら、ふたり、ひっそりからだを洗った。
「K、僕のおなかのここんとこに、傷跡があるだろう? これ、盲腸の傷だよ。」
Kは、母のように、やさしく笑う。
「Kの脚だって長いけれど、僕の脚、ほら、ずいぶん長いだろう? できあいのズボンじゃ、だめなんだ。何かにつけて不便な男さ。」
Kは、暗闇の窓を見つめる。
「ねえ、よい悪事って言葉、ないかしら。」
「よい悪事。」私も、うっとり呟いてみる。
「雨?」Kは、ふと、きき耳を立てる。
「谷川だ。すぐ、この下を流れている。朝になってみると、この浴場の窓いっぱい紅葉だ。