Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Lesen Sie 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.829 Zeichen · 169 Bildschirme
英夫と、祥子は王様と聞いて、びっくりした。
謙一の姿を見ると、庭先に立っていたマレー人が、にこにこしながら、駈け寄って来た。
「王様はいるかね?」
「はい、お待ちしていましたよ」
「客人は?」
「王様と庭を散歩しておいでです」
「子供さんたちも一緒だね?」
「はい、左様で……」
マレー語の、そんな会話の後で、
「ちょうどいい」
と、英夫たちをふりかえり、
「取次いでくれたまえ」
マレー人にいった。
「取次ぎなんか、いりませんよ、河井さん、お早う!」
小肥りの、血色のいい、年のころ五十近いマレー人がにこにこしながら大またに歩み寄って来た。サロンにシャツを着ただけの姿だった。
「サルタンだよ、昔のシンガポールの王様だ」
英夫と、祥子は、普通の人とちっとも変らない王様に二どびっくりした。
「やあ、お珍らしい、これが弟さん、そちらは園部さんの姪御さんでしょう。ようこそ、さあこちらへいらっしゃい」
祥子と英夫は、どうしたわけか、何もかも知りつくしているような、打ち解けた王様の態度を不審に思っている暇もなく、王様は、ずんずん三人を奥庭に案内して行った。
木立に囲まれたベンチのところまで来ると、陽にやけた、痩せた小柄の日本人と、二人のソンコ帽をかぶった小さい男の子が、熱心にこっちを見ながら立っていた。