Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Lesen Sie 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.829 Zeichen · 169 Bildschirme
「今にいやというほどたくさん出くわすから、あまり心配せんでもいいよ、はっはっは」
謙一が笑った。
ゆらり、ゆらりと、紅樹林の葉が、いつの間にか出て来た風にそよぎはじめた。
熱いランプのほやのような青空に、一団の雲が浮び出し、見る見る、暗幕のようにあたりを暗くした。遠く、どこかで、雷の音がしている。
やがて、ぼつりぼつりと大粒の雨あしが河面を掻き立て、紅樹林をもみさわがしたかと思うと、はげしいしわぶきと一緒に大雨がやって来た。
「スコールだ、はやく中へ入らんと、河へ放り出されるぞ!」
謙一が叫んだ。
鉄橋を渡る列車のような轟音を立てて、スコールがやって来た!
それも、しばらくの間で、空はまた、拭ったように晴れ上り、焼くような暑さにかえった。
「おや?」
対岸を見つめていた、英夫が叫んだ。
一台の黒塗りの自動車が、河岸の道を、弾丸のような速力で、上流に走っている。
この辺の両岸は、茫々たる平原で、ところどころに水田や、バナナや椰子の畑、ゴムの林があり、ダイヤ族の住む小さな部落が見えた。
自動車は、その中を縫うように、がむしゃらな速力で走っているのだ。
部落の子供たちが、おどろいて、二十日鼠のように、ちょろちょろと、駈けて来て、見送っているのが、手にとるように見える。