Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

Lesen Sie 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.829 Zeichen · 169 Bildschirme

Aozora Bunko

崇高な最期をとげた船長も、二人のために必死の努力をはらった宮崎運転士も、いまはおなじ海底に眠っていることだろう。

英夫と祥子は、幸いお互いにはなればなれにもならず顛覆したボートにすがって漂流をつづけていた。

そして、夜もあけ、海面がしだいに穏やかになり、思いがけない珊瑚礁を間近に見た時には、二人とも、いままでの苦しさからすくわれたように、ほっとした。

「おそろしい夢から、急にたのしい夢を見ているような気がするなあ!」

英夫も、空腹と咽喉のかわきを忘れて、ボートの上にとび上った。

「陸へ上ったら、直ぐ何か食べるものと、飲みものを探しましょう、あたし、急におなかがすいて目がくらみそうになったわ」

「そら! あすこに茂っているのは椰子の樹だぜ! 椰子の実をとって飲もう、何かほかの果物もあるかも知れないし……、魚だってこんなにうんといるんだから、いくらでもとれるよ」

船腹の板をはがして作った橈で漕ぐ船あしは、のろのろとしてもどかしかったが、椰子の茂った海岸へたどって行けそうな岩礁はもう目の前だった。

「無人島かしら……人喰人種なんかいやしない?」

「無人島さ、あんな小さな島に人喰人種なんか住めっこないよ」