Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たねがみのあおむころ

種紙の青む頃

前田 夕暮

Lesen Sie 種紙の青む頃 (たねがみのあおむころ) von 前田 夕暮 (まえだゆうぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.464 Zeichen · 3 Bildschirme

Aozora Bunko

」

と話しているところへ、父が種紙を二三枚さげて座敷にあがってくる。

「種紙がすっかり青くなったぞ。」

「それじゃもう蚕が発生るの。」

「もう一週間もすると発生る。」

「桑の芽がすっかりふくらんで、日あたりのよいところはもうほぐれていますよ。」

と母は手拭を頭からとりながら、土間に立って父の方を見ている。

「それでは畑の桑を見に行こう、おまえも一緒に行け。」

と父は私を誘う。私は箸を膳の上に投げ出すようにして、土間にとびおりて草履をはく。父はもう竹藪のなかの坂路をあがりかけている。

「おい、お父さんを後から押してくれ。」

「ようし。」と私は父のふっくらとした腰のあたりに両手をあてて、後から押しあげる。父は故意と背を反らすようにして私を困まらせようとする。私は全身に力を入れて押しあげようとする。が、父の体はどっしりして重く、手が撓うようになる。怺らえきれなくなって、つと手をはなして横の方へとびのくと、父はよろよろと後ろに二三歩よろけて、青竹を捉えて倒れようとした体の位置をとりかえす。そして、ははははと大きな声で笑う。

「駄目、駄目、そんなことじゃ。では今度はお父様がおまえを押上げてやろう。