Japanische Klassiker mit Furigana
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あるゆうかくでのできごと
空にむかひて
若杉 鳥子
Lesen Sie 空にむかひて (あるゆうかくでのできごと) von 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.677 Zeichen · 46 Bildschirme
何処ででも行き着いた土地へ天幕の店を張って、地面へ薄ベリのようなものを敷いて、玩具のサーベルやラッパや安っぽい花簪や、蟇口の類を並べ、そして唄のように節をつけてお客を招ぶのだった。私もいつかその口擬ねを覚えて、天幕の店へ坐っていた。お神楽の太鼓や疳高くピイピイ鳴る風船の笛、或いは爆竹の音、アセチレン瓦斯、おでん屋の匂いなんかの中に、凍えるような夜をふかすのだった。
その時分に肺炎をやったりしたのが今でも祟って、幼い時から喘息やみになってしまった。そのうち学齢が来て、やっと養家へ引きとられて行ったが、どんなに大事にしてくれても、その貧乏な里親が恋しくて、夜も睡ることができなかった。
床につく時は観念しているのだが、少し睡ると眼が覚めて、一応あたりを見廻さずにいられなかった。そしてあの裸で寝る習慣のお婆さんも、オッカアも父もいないと知ると、私は夢中で叫びながら駈け出した。どんな障碍物でも蹴飛ばすような勢いで、往来をめがけて走り出すのだった。
危ないッ! 皆に抱き止められて、再びまた床の中に連れ戻されるのだが、こんなことが毎晩続いた。夢遊病者のように、自分でははっきりそれを意識しなかった。