Japanische Klassiker mit Furigana
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あるゆうかくでのできごと
空にむかひて
若杉 鳥子
Lesen Sie 空にむかひて (あるゆうかくでのできごと) von 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.677 Zeichen · 46 Bildschirme
里のお婆さんの方もまた、預けた家へかえしはしたが、心配と逢いたさに、昏れ方はきっと、向こうの家の土蔵の陰から顔だけ出して、私の方へ手招ぎをするのだった。
それを見ると、私はお婆さんの傍へ走り寄って行ったがお婆さんは歓んで息を切らしながら、いろんなことを訊いた。そして訣れる時、近眼のお婆さんは、懐中から出した茶色の巾着へ、眼をくッつけるようにして中から銅貨を摘み出し、私の掌の上に置いてくれるのだった。――それはお婆さんが近所の使い走りや洗濯をして、僅かに得た労銀なのだった。私はまたそんな貴い金とも知らず、貰うとすぐ養家へは内密で買い喰いをしてしまった。
こうして人目を忍んではお婆さんに逢うというのは、里親に出入りされたのでは、子供がいつまでも家の方へ馴染まないといって、里親に会うのを禁じられていたからだった。そして時たまお婆さんと話している処を誰かに見られでもしようものなら、「あの百姓婆、あの乞食婆、あんな薬缶頭のどこが好いんだ」そういって皆に揶揄された。
「お婆さんが悪いのではない、働いても働いても貧乏なのは、そりゃお婆さんが悪いのではないんだ……」