Japanische Klassiker mit Furigana
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くうをとぶパラソル
空を飛ぶパラソル
夢野 久作
Lesen Sie 空を飛ぶパラソル (くうをとぶパラソル) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.190 Zeichen · 40 Bildschirme
それから二十分程経つと、私は筥崎の町役場へ行って死亡届を調べていた。そうして、それから又、十分ばかりの後には、筥崎八幡宮の裏手の森蔭に「花房敬吾」と標札を打った、長屋風の格子戸の前に突立っていた。
「……御免下さい……お頼み申します……御免下さい……」
と二三度繰り返すと、何の返事も無いままに、格子の中の玄関の破れ障子がガタガタと開いた。
「……敬吾かえ……」
と云うシャガレた声が聞えると間もなく、一人の老婆が、障子に縋り付くようにして這い出して来た。
私は又もやドキンとさせられた。古い格子越しに見ると、その老婆は、黄色い胡麻塩頭が蓬々と乱れて、全身が死人のように生白く、ドンヨリと霞んだ青い瞳を二ツ見開いて、一本も歯の無い白茶気た口を、サモ嬉しそうにダラリと開いている。身体には垢だらけの手拭浴衣を着て、赤い細帯を捲きつけていたが、帽子を取った私の顔を見上げると、みるみる暗い、萎び込んだ表情にかわってしまった。
「ドナタサマデ……アナタ……」
と頭を下げつつゴックリと唾を呑んだ。
私は返事するのを躊躇した。この新聞材料にぶつかった最初から受け続けている、何とも云えないイヤナ感じを、ここでもっと突込んでみようか……それともこの辺で思い切ってしまって、もっと明るいキビキビした、ほかの材料に乗り換えようかと、一瞬間