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Japanische Klassiker mit Furigana

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くうをとぶパラソル

空を飛ぶパラソル

夢野 久作

Lesen Sie 空を飛ぶパラソル (くうをとぶパラソル) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.190 Zeichen · 40 Bildschirme

Aozora Bunko

その高枕と括り枕との間に、新らしいメリンスの小さな布団と、赤い枕がキチンと置いてあるのは赤ん坊の寝床であろう。夫婦と老婆が寝ていたものとも思われるが、妻女は死んでいる筈だから、寝床が三つあるのはヘンテコである。しかも役場の戸籍面には妻女の死亡が届け出てあるだけで、赤ん坊の事は何とも書いてないのに……アノ鯉幟……この小さな新しい布団……おまけに今は真ッ昼間ではないか……。

私は進退谷まったような気持ちで、帽子を持ったまま縁側に跼んだ。白昼でありながらソンナ気がチットモしない。雨戸を洩れる光線が、月の光りのように白く見えて、ヒッソリとした静けさが身に迫って来る。今にも突然に老婆がワアと云って振り返ったら……なぞとあられもない事を考えているうちに、台所に首を突込んでゴソゴソやっていた老婆は、片手に茶碗を持ちながらヨタヨタと這いもどって来た。

「ヘイ……つめたいお茶を一ツ……おあてものも御座いませんで……アナタ……」

「……ヤッ……どうもありがとう……どうぞお構いなく……」

と大きな声で云いながら、私は余儀なく板張りに坐り込んだ。老婆も私とさし向いに坐ったが、瘠せ枯れた白い手で襟元を直して、蓬々と逆立った髪毛を撫で上げた。