Japanische Klassiker mit Furigana
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くうちゅうせいふく
空中征服
賀川 豊彦
Lesen Sie 空中征服 (くうちゅうせいふく) von 賀川 豊彦 (かがわとよひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.687 Zeichen · 215 Bildschirme
六三 赤ン坊を救え
輿が家の前に置かれた。そして棺は輿の中に納められた。お爺さんは娘の平生用いていた茶碗を門口で破った。軒先の雀が驚いて樋から飛び出して来た。お爺さんは入口の柱に倒れかかったままおいおい泣いている。
静かに棺をのせた輿が路次を出る。誰も見送るものとてはない。貧民窟は静かに寝むっている。輿について、火葬場まで行くものは市長と市長の霊とだけである。お爺さんは後片づけのためによう付いて行かないと言う。
路次から棺が出る時に、再び雀が騒いだ。
ふと、気をつけて見ると、軒に住んでいる十数匹の雀が会葬者として闇の中に立っていた。
それは肉なる賀川市長には見えなかった。しかし、霊の賀川市長はそれを見た。
闇を縫うて棺は火葬場へ送られた。そして哀調を帯びた小雀の讃美歌が火葬場の屋根の樋の中に聞こえた。賀川市長は泣きながら棺の前に祈っていた。
六三 赤ン坊を救え
挿絵63
翌朝まだ寝ているうちから起すものがある。それは島村であった。
「もう、示威運動の幹部連はほとんど全部天王寺公園に集まっておりますから、あなたも参加して下さいませんか」
との要求をもたらして来た。
充分休んでおらないが、ご奉公のためだと思って、天王寺公園に行ってみると、来るわ、来るわ、煙に困っているお嬶さん連中が幾千人ともなく集まってくる。