Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くうちゅうせいふく

空中征服

賀川 豊彦

Lesen Sie 空中征服 (くうちゅうせいふく) von 賀川 豊彦 (かがわとよひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.687 Zeichen · 215 Bildschirme

Aozora Bunko

二八 死の勝利第二世

泣なくてもよいのに、僕はいつとはなしに泣けてくるんだよ」

こう言うと、笑っていた菊子はまた泣き出した。

「ね、信ちゃん、わたしはね、人間が笑わなくてはならぬということが悲しいのよ。この悲哀の充ちた世の中に、なぜ神様は笑いなんかいう矛盾したものを、お造りになったんでしょうね」

そう言うと、一瞬間前まで笑っていた島村はまた泣き出した。

「ほんとにね、菊ちゃん、僕は安価な笑いに自己を忘却する人間じゃなかったんだがね、僕はこのブルジョア文化を叩き壊すために、大きな使命を持っているんだったね、僕はもう一生笑わないぞ、僕は涙を一生の糧として、プロレタリアの悲哀に自己の屍を涙漬にしよう」

こう言うたが、自分の言うたことが、あまりセンチメンタルなものだから泣くことを一生の使命とするといったその言葉が舌の先でまだ乾かない先に吹き出してしまった。

二八 死の勝利第二世

挿絵28

二人は青春の血に酔うて泣いたり笑ったりしているうちに夜はふけ、十二時も早過ぎてしまった。

とうとう菊子はもう家には帰れぬと言い出した。

「わたし、死にたくなったのよ。ね、島村さん、あなた、わたしと一緒に死んでくれない? 」