Japanische Klassiker mit Furigana
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くうちゅうひょうりゅういっしゅうかん
空中漂流一週間
海野 十三
Lesen Sie 空中漂流一週間 (くうちゅうひょうりゅういっしゅうかん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.324 Zeichen · 35 Bildschirme
「あっ、失敗った!」
と、キンチャコフがゴンドラの外に手を伸そうとしたとき、踏みこんだ「火の玉」少尉は、腹立ちまぎれに右手でぴしりとキンチャコフの脳天をなぐりつけた。その右手は、ただの手ではなかった。鋼鉄製の義手だった。キンチャコフは獣のような悲鳴をあげると、へたへたとゴンドラの底にその身体を折り崩した。
「火の玉」少尉は、相手がうごかなくなったのを見ると、そのまま自分も瞠とその場に倒れた。しかしそれから十数分とたたないうちに、彼はまたむくむくと頭をもちあげた。そしてとうとうその場に起きあがって、また口から血を吐いた。
「うーむ」
彼はぐっと歯を喰いしばった。そして胸のあたりをさすっていたが、やがて上衣をまくって白い襯衣をひきだし、べりべりと破った。彼はその破った襯衣で、傷口をおさえて血止めにした。なお彼の眼と手とは動いて、そこにあったズックの布を引裂きにかかったが、ついに及ばず、そのズックの布を砲えたままその場にどっと転がった。
それが「火の玉」少尉の、これまで連続していた記憶の切れ目であったのである。
そのころ、人事不省の両人をのせた気球は、不連続線の中につき入って、はげしく翻弄されていた。