Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くうしゅうそうそうきょく

空襲葬送曲

海野 十三

Lesen Sie 空襲葬送曲 (くうしゅうそうそうきょく) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 95.012 Zeichen · 189 Bildschirme

Aozora Bunko

「それを呉れるというのかい。ほほう」

「まア、きたないわ」と紅子が喚いた。「お膳の下から出すものよ。夜店でバナナを買ってきたんでしょう」

「なに、バナナか?」父親は手を引込めた。

「バナナじゃありませんよ、僕が工場で拵えてきたんですよ」

「僕知ってらあ。きっとゴム靴だよ。もうせん、僕に拵えてくれたねえ、弦兄さん」

「ゴム靴だって?」父親は顔を硬ばらせた「鼻緒屋の倅が、ゴム靴を作る時代になったか」

「黙って開けてごらんなさい、お父さんは、きっと驚くでしょうよ」

新聞紙の包みは、嫂の手から隣へ廻って、父親の膝の上へ順おくりに送られた。

長造が、新聞紙をバリバリあける手許に、一座の瞳は聚った。二重三重の包み紙の下から、やっと引出されたのは、ゴムと金具とで出来たお面のようなものだった。

「こりゃ、お前が造ったのかい、一体、これは何だい」父親は狐に鼻を摘まれたような顔を弦三の方に向けた。

「それは、瓦斯マスクですよ。毒瓦斯除けに使うマスクなんです」

「瓦斯マスク! ほほう、えらいものを拵えたものだね。近頃、こんな玩具が流行りだしたってえ訳かい」

「玩具じゃありませんよ、本物です。