Japanische Klassiker mit Furigana
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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
Lesen Sie 空襲葬送曲 (くうしゅうそうそうきょく) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 95.012 Zeichen · 189 Bildschirme
「全速力三十六節!」
驚くべき命令が発せられた。
給油管は全開となり、喞筒はウウーンと重苦しい呻りをあげ激しい勢いで重油がエンジンに噴きこまれて行った。ビューンとタービンは、甲高い響をあげて速力を増した。機関室の温度計の赤いアルコール柱はグングン騰って行った。
途端に、艦列を斜めに外れて、又一連の水煙りが上った。二度目の砲弾が降って来たのだった。照準は、最初よりも狂いがひどく入って来たので、敵艦隊は、明かに狼狽の色を見せはじめた。
「取舵一杯」
司令艦の衣笠から青葉、古鷹という順序で見る見るうちに、艦首が左へ、ググッと曲って行った。
キリキリキリー
それに応じて、六門の主砲が、右舷の方へ旋回して行った。
測距儀に喰い下っている士官は、忙しく数字を怒鳴っていた。砲術長は、高声器から、射撃命令を受けとると腕時計を見守りながら電気発火装置の主桿を、ぐッと握りしめた。
(もうあと、五秒、四秒、三秒、二秒……)
もう一秒だッ。
「そこだッ!」
ううーンと主桿を倒した瞬間に、くらッくらッと眩むような閃光が煌々と、続いてずしーンと司令塔が真二つに裂けるような、音とも振動ともつかない大衝動が起った。