Japanische Klassiker mit Furigana
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くうしゅうそうそうきょく
空襲葬送曲
海野 十三
Lesen Sie 空襲葬送曲 (くうしゅうそうそうきょく) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 95.012 Zeichen · 189 Bildschirme
「いいえ、暗くなったんで、判りませんわ」
「非常管制の警報らしいが、何分位消えているんだっけな」
「お父さんは、忘れっぽいのね。三十秒の間消えて、また三十秒つき、それからまた三十秒消えて、それからあと、ずっと点くのですよ」
「感心なもんだな、覚えているなんて――」
三十秒経ったのか、電灯がパッとついた。
「今度は時計を見てるよ。これで三十秒経って消えたら、いよいよ本物だ」
「呀ッ、消えましたわ」
お妻の声には恐怖の音調が交っていた。
間もなく、電灯は再び点いた。
「ほうら、見なさい。いよいよ非常管制だ。ははァ」
「誰か、表の電灯を消して下さい」
「もう消しましたよオ」真暗な店の方から、返事があった。
「お父さん。ここの電灯も消して、ちょうだい。あたし、怖いわ」長女のみどりが、奥の間へやってきた。
「ここは見えやしないよ」
「だって、戸の隙間から、見えちまうじゃないの」
「じゃ、こうしとこうかな。手拭を、姐さん被りにさせて」
「ああ、それで、いいわ」あとから附いて来た紅子が云った。
「家の中を皆、真暗にしてしまうんですもの。暗くちゃ、怖いわ」
そこへ、店の方から、ドカドカと上りこんで来た者があった。