Japanische Klassiker mit Furigana
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くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
Lesen Sie 空襲警報 (くうしゅうけいほう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.838 Zeichen · 92 Bildschirme
大和魂は現役軍人だけの持ものじゃない。われわれにだってありまさあ」
「われわれにも、チャンとありますかなァ。わたしなんかにゃ、どうも大和魂の持合せが少いんで恥ずかしいんですよ……」
といって頭をかいたが、
「どうです、親方。この汽車は今夜中このとおり、鎧戸をおろし、まっくらにして走るんですかね」
「いや、いまに非常管制がとけて、警戒管制にかえれば、窓もあけられますよ」
「警戒管制になるのはいつでしょうな」
「いまに車掌さんが知らせに来ますよ。それまでは、すこし蒸暑いが、我慢しましょうや」
「我慢しますが、わしはどうも暑いのには……いやどうも弱い日本人だ。……どうです、親方。暑さしのぎに、暗いけれど一つ将棋を一番、やりませんか」
「えッ、将棋!」
親方は太い眉をビクンと動かした。
「この空襲警報の中で将棋ですか。いやおどろいた。あんたも弱い日本人じゃない。おそれいったる度胸。これァ面白い。さしあたり用もないから、じゃ生死の境に一番さしましょうか。これァ面白い。はッはッはッ」
辻村商人氏が、トランクから小さい将棋盤を出してきた。トランクを向かいあった二人の膝の上に渡し、その上に盤をおいた。