Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぬすむおんな

窃む女

黒島 伝治

Lesen Sie 窃む女 (ぬすむおんな) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.734 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

お里は嵩ばった風呂敷包みを気にしながら、立っている。火鉢の傍に坐りこんでいる内儀の眼がじろりと光る。お里はぐら/\地が動きだしたような気がする。

番頭は算盤をはじき直している。彼は受領書に印を捺して持って来る。

「何と何です?」

不意に、内儀の癇高い声がひびく。彼女は受領書と風呂敷包を見っぱっている。

番頭は不意打ちを喰ってぼんやり立っている。

「何にも取っとりゃしませんぞな! 何にも……」

お里が俯向いて、困惑しながらこう云っている……

五

清吉は胸がドキリとした。

「何でもない。下らないこった! 神経衰弱だ何でもありゃしない!」

彼はすぐ自分の想像を取消そうとした。けれども、今の想像はなんだか彼の脳裏にこびりついてきた。

やがて、門の方で、ぱきぱきした下駄の音がした。

「帰ったな。」と清吉は考えた。

彼は一刻も早く妻の顔を見たかった。彼女の顔色によって、丸文字屋でどんなことが起ったか分るからだった。さきの想像が真実かも知れないと云う懸念に彼はおびやかされた。

彼女は何か事があると、表情を失って、顔の皮膚が厚く凝り固まったように見えるのであった。