Japanische Klassiker mit Furigana
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かまどのなかのかお
竈の中の顔
田中 貢太郎
Lesen Sie 竈の中の顔 (かまどのなかのかお) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.439 Zeichen · 15 Bildschirme
三左衛門はそう云ってから、ちらと茶釜の方へ眼をやった。茶釜の下の竈の下から人間の顔がすうと出て来た。それは色の蒼醒めた恐ろしい顔であった。三左衛門はびっくりしたが、剛胆な男であったから何も云わずに僧の顔を見た。僧は怪しいその顔を見つけたのか眼を瞋らしてその方を睨んだところであった。と、その顔は消えるように引込んでしまった。
「あ、木の自由な処におると、かえって油断して、木をきらした、ちょと枝を執って来る、待ってくだされ」
僧はそのまま起って出て往った。三左衛門は傍に置いてある刀を引寄せて、竈の下を中心に庵の内を注意していたが、こんな処に長くいるのは不吉であるから早く帰ろうと思いだした。そして、帰るには逃げるようにして帰るのは武士の恥であるから、立派に布施も置いて帰ろう、しかし、正面から僧の前へ出しては、復た何とか難癖をつけて押し返されないとも限らないので、布施は今の内に出して置いて、僧が帰り次第に帰ろうと思った。三左衛門は竈の下を見ながら考えた。
(仏壇の中が好い)
彼は仏壇の中へ布施を入れて置こうと思いだした。彼は懐中の紙入を探って銭を出し、それを鼻紙に包んだ。