Japanische Klassiker mit Furigana
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たちがれ
立枯れ
豊島 与志雄
Lesen Sie 立枯れ (たちがれ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.613 Zeichen · 41 Bildschirme
そしてそれが意識のなかに落付くと、逆に腹を据えて、ふみ枝や千代次まで呼び寄せて、賑かに盃を重ねるのだった。彼は大体見栄坊で、世間体もきちんと取繕う方だったので、待合へ不義理をすることなども不愉快だったし、殊に着物の裾のすり切れてることなどは、ひどく気にかかるのだった。
島村陽一が、芸術家らしい乱れた髪で、のっそりした態度で、屈托のないにこにこした顔で、そこに姿を現わした時には、中江はもう可なり銘酊していた。それでも姿勢はくずしていなかった。意識のなかにどこか冴えた部分があって、そこに、綿の覗きだしてる着物の裾がひっかかるのだった。
「呼びだしてすまなかったが……僕ももう酒の飲みじまいだ。」と中江はばかな弱音を吐いた。
「相変らずだね。」
だがいつも変らないのは彼の方だった。嬉しいのでも不服でもなさそうに、ただのんびりして、にこにこしている島村を、中江は感心したように眺めるのだった。貧乏なのは昔からで、それで一向苦にならないらしく、ここの家の勘定だって、もう随分たまった筈らしいなどと、平気な顔をしていた。がそれよりも中江の腑におちないのは、彼と静葉との関係だった。