Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

たちがれ

立枯れ

豊島 与志雄

Lesen Sie 立枯れ (たちがれ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.613 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

中江はその中に当面の問題を探し求めたが、探し求めるところに問題のありようはなく、結局、何かしらもやもやとしたものから眼を外らして、夢想とも云えないほどのぼんやりした考えに耽るのだった。その間をぬって、身体がまだ時々ひりひりと快よく痛んだ。

なか一日おいて午後、瀬川キミ子から電話がかかってきた。いろいろ話があるからお逢いしたい、どこへでもいいから出て来て下さらない、というのだった。中江はへんに力無い冷淡さで、病気引籠り中なので外出できない、と返事をした。キミ子は何かとぐずっていたが、ふいに元気に、そんならすぐ伺うと云った。そして暫くたって、キミ子がやって来ると、書斎にぼんやりしていた中江は、そこに彼女を通さした。

「御病気ですって、どこが悪いの。」

キミ子は執拗な眼付を彼の方に絡ませてくるのだった。彼はにが笑いしながら、黙って、久しぶりに自分の書斎で彼女を眺めた。断髪と大きな眼と頬の円いふくらみ、それから、皮下に贅肉の多い肉附と脂を浮かせてる皮膚、その二つが、一つは彼女の若々しい快活さを示し、一つは彼女の頽癈的な情慾を示して、別々に彼の眼に映った。ばかりでなく、彼女をそういう風に観察してる自分の視線が、彼にはふと自分のものでなく第三者のもののような気がした。