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Japanische Klassiker mit Furigana

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りゅう

竜

芥川 竜之介

Lesen Sie 竜 (りゅう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.397 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

「けれども猿沢の池は前の通り、漣も立てずに春の日ざしを照り返して居るばかりでございます。空もやはりほがらかに晴れ渡って、拳ほどの雲の影さえ漂って居る容子はございません。が、見物は相不変、日傘の陰にも、平張の下にも、あるいはまた桟敷の欄干の後にも、簇々と重なり重なって、朝から午へ、午から夕へ日影が移るのも忘れたように、竜王が姿を現すのを今か今かと待って居りました。

「すると恵印がそこへ来てから、やがて半日もすぎた時分、まるで線香の煙のような一すじの雲が中空にたなびいたと思いますと、見る間にそれが大きくなって、今までのどかに晴れていた空が、俄にうす暗く変りました。その途端に一陣の風がさっと、猿沢の池に落ちて、鏡のように見えた水の面に無数の波を描きましたが、さすがに覚悟はしていながら慌てまどった見物が、あれよあれよと申す間もなく、天を傾けてまっ白にどっと雨が降り出したではございませんか。のみならず神鳴も急に凄じく鳴りはためいて、絶えず稲妻が梭のように飛びちがうのでございます。それが一度鍵の手に群る雲を引っ裂いて、余る勢いに池の水を柱のごとく捲き起したようでございましたが、恵印の眼にはその刹那、その水煙と雲との間に、金色の爪を閃かせて一文字に空へ昇って行く十丈あまりの黒竜が、朦朧として映りました。