Japanische Klassiker mit Furigana
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りゅう
竜
Lesen Sie 竜 (りゅう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.397 Zeichen · 19 Bildschirme
こうなると話にも尾鰭がついて、やれあすこの稚児にも竜が憑いて歌を詠んだの、やれここの巫女にも竜が現れて託宣をしたのと、まるでその猿沢の池の竜が今にもあの水の上へ、首でも出しそうな騒ぎでございます。いや、首までは出しも致しますまいが、その中に竜の正体を、目のあたりにしかと見とどけたと申す男さえ出て参りました。これは毎朝川魚を市へ売りに出ます老爺で、その日もまだうす暗いのに猿沢の池へかかりますと、あの采女柳の枝垂れたあたり、建札のある堤の下に漫々と湛えた夜明け前の水が、そこだけほんのりとうす明く見えたそうでございます。何分にも竜の噂がやかましい時分でございますから、『さては竜神の御出ましか。』と、嬉しいともつかず、恐しいともつかず、ただぶるぶる胴震いをしながら、川魚の荷をそこへ置くなり、ぬき足にそっと忍び寄ると、采女柳につかまって、透かすように、池を窺いました。するとそのほの明い水の底に、黒金の鎖を巻いたような何とも知れない怪しい物が、じっと蟠って居りましたが、たちまち人音に驚いたのか、ずるりとそのとぐろをほどきますと、見る見る池の面に水脈が立って、怪しい物の姿はどことも知れず消え失せてしまったそうでございます。