Japanische Klassiker mit Furigana
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はしがき
童話集 春
竹久 夢二
Lesen Sie 童話集 春 (はしがき) von 竹久 夢二 (たけひさゆめじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.531 Zeichen · 97 Bildschirme
葉子は、いつか森先生に出逢った橋の所まで来ると、向うから光子が来るのに会った。
「何処へ行くの?」光子がいきなりきいた。森先生の許へといえば、また何とか意地悪い事を言われるのがいやさに、それとなく、
「ちょっとそこまで……」と答えた。
「隠したって知っててよ、森先生の許でしょう! 先生の所へいったって駄目よ。先生はあなたのこと怒っていらしてよ。そしてあなたを大嫌いだって」
さも憎らしそうに光子は言って、葉子の持っている花を見つけた。
「まあ、それを先生の許へ持っていらっしゃるの。そうでしょう※(疑問符感嘆符、1-8-77) 先生の許にはもっと綺麗な花が山のようにあってよ。だって温室からとっていったんですもの。でもいらっしゃりたいなら勝手にいくと好いわ。そんなきたない花を先生はお喜びになるかもしれないわ。あばよ」そう言捨てて光子は行ってしまった。
あとに残された葉子は橋の欄干にもたれて、じっと唇をかんで怺えたが、あつい涙がはらはらと水のうえに落ちた。
葉子はしばらく橋の上から川の水を眺めていたが、手に持っていた花束を水の中へ投捨てて一散に家の方へ走った。