Japanische Klassiker mit Furigana
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はしがき
童話集 春
竹久 夢二
Lesen Sie 童話集 春 (はしがき) von 竹久 夢二 (たけひさゆめじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.531 Zeichen · 97 Bildschirme
母様の庭で、母様の膝の上で、母様の手に抱かれて、母様の頬にあなたは両手をあてながら、母様の眼の藍色の床しさをあやしみつつ見詰めた。そして情あふれる母様の声を嬉しくきいた。
「可愛いい坊や」
「え」
「私の大切な大切な可愛いい坊や」
といって母様はあなたを胸に抱きよせて、頬ずりをなさる。
「何日かねえ、このお庭で、この離れで母様は坊やの夢を見たのよ」
「坊やの夢を? えッ母様」
「ああ坊やの。恰度この庭でね、そこの月見草が花盛りで鳥が鳴いて居たの。母様は、坊やが小さな赤ん坊だったところを夢に見たの。ああ、その時に風は月見草の花に歌をうたってきかせて居ましたよ。母様はねえ。坊やにねんねこ歌を歌ってきかせたのよ。そうするとねえ、坊やが私の方へ手を伸べて笑ったの、それから……ねえ、坊や……」
「でも母様、それは夢だったの」
「それはほんとの夢だったの、そしてそれがほんとうになったの。それは六月のある晩にほんとうになったの。――六月のおついたちに……」
「ぼくの誕生日に」
「坊やの誕生日に」
息もつがずあなたは言った。
「母様、美しい夢ね」