Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

そろばんがこいをかたるはなし

算盤が恋を語る話

江戸川 乱歩

Lesen Sie 算盤が恋を語る話 (そろばんがこいをかたるはなし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.096 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして二言三言話しあっている内に、ふとS子は机の上の例の算盤に目をつけました。Tは思わずハッとして、彼女の目つきに注意しましたが、彼女は、ただ一寸の間、その馬鹿馬鹿しく大きな金額を不審相に見たばかりで、すぐ目を上げて会話を続けるのです。Tはまたしても失望を繰返さねばなりませんでした。

それからまた数日の間、同じことが執拗に続けられました。Tは毎朝S子の席に着く時をおそろしい様な楽しい様な気持で待ちました。でも二日三日とたつ内には、S子も帰る時には本立へかたづけて行く算盤が、朝来て見ると必ず机の真中にキチンとおいてあるのを、どうやら不審がっている様子でした。そこにいつも同じ数字が示されているのにも気がついた様です。ある時などは、声を出してその十二億四千うんぬんの金額を読んでいた位です。

そして、ある日とうとうTの計画が成功しました。それは最初から二週間もたった時分でしたが、その朝はS子がいつもより長い間例の算盤を見つめていました。小首を傾けて何か考え込んでいるのです。Tはもう胸をドキドキさせながら、彼女の表情を、どんな些細な変化も見逃すまいと、異常な熱心さでじっと見まもっていました。