Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

そろばんがこいをかたるはなし

算盤が恋を語る話

江戸川 乱歩

Lesen Sie 算盤が恋を語る話 (そろばんがこいをかたるはなし) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.096 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

一寸想像も出来ない程臆病な彼の性質が禍したのです。それは一つは彼が自分の容貌に自信を持ち得ないからでもありました。うっかり恋を打あけて、もしはねつけられたら、それがこわいのでした。臆病でいながら人一倍自尊心の強い彼は、そうして恋を拒絶せられた場合の、気まずさはずかしさが、何よりも恐ろしく感じられたのです。「あんないけすかない人っちゃないわ」そういったゾッとする様な言葉が、容貌に自信のない彼の耳許で絶えず聞えていました。

ところが、さしもの彼も今度ばかりは辛抱し切れなかったと見えます。S子はそれ程彼の心を捕えたのです。しかし、彼にはそれを正面から堂々と訴える丈けの勇気は勿論ありませんでした。何とかして、拒絶された場合にも、少しも恥しくない様な方法はないものかしら。卑怯にも彼はそんなことを考える様になりました。そして、こうした男に特有の異常な執拗さを以て、種々な方法を考えては打消し、考えては打消しするのでした。

彼は会社で当のS子と席を並べて事務をとりながらも、そして彼女とはさりげなく仕事の上の会話を取交しながらも、絶えずそのことばかり考えていました。