Japanische Klassiker mit Furigana
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ふんにょうたん
糞尿譚
火野 葦平
Lesen Sie 糞尿譚 (ふんにょうたん) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.974 Zeichen · 99 Bildschirme
間違いなしに全部届けるからと自転車に乗りながら云って、飛び乗ると、今度は下りばかりで、赭土の道を砂煙をあげて疾走し出した。頬に涼しい風があたって、よい気持だった。十分位走ると、海浜にある扇谷温泉の大きな看板の立っている県道に出た。
湯槽の中に身体を浸し、眼を瞑じた。久しぶりにのびのびした甚だ陶然たる気持であった。一間四方位しかない狭い浴槽で、誰もいないので、彼は腕を伸ばしたり、ちぢめたり、掛声をかけたり、三勝半七酒屋の段を唸ったりした。腰硝子越しに芋畑があって、大きな葉が揺いでいるのを見て、この辺の畠はどこの肥料を使っているのだろうと思った。彼は最近の事件を色々と回想し、まず、大体、幸福であった。彼は手拭でごっしごっしと腕を磨き、首筋を洗った。顔をつっこんで、沈んでみて、すぐあぷあぷと顔をあげ、いつか山の池に長いこと沈んでいた卯平を思い出し、あいつはまるで河童だ、どうしてあんなに長く水の中に居ることが出来るんだろうと不思議に思った。彼はもう一ぺん鼻をつまみ、息を深く吸いこんで沈んでみた。すぐ苦しくなって、あぷあぷと浮いた。どうしても駄目だと思い、断念して、また首を出したまま窓から空を見た。