Japanische Klassiker mit Furigana
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こうばいのきゃく
紅梅の客
吉川 英治
Lesen Sie 紅梅の客 (こうばいのきゃく) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.574 Zeichen · 15 Bildschirme
『……お初に』は、おもしろい。吉野大夫と灰屋紹益にあてはまりそうな話である。稀れだろうが、女にも含蓄があったとおもう。
ところで、過日、伊東行きの列車で一しょになった今ちゃんの話がまた思い出されてくる。心やすだてについ今ちゃんなどといったが今日出海氏のことである。この話は「今ちゃん」としてでないと味が出ないからそれでかんべんして貰う。つい先々月頃のこととか。その今ちゃんが身不相応な大尽遊びをやってしまった。吉原でである。なお念のため断わっておくならば、今日の吉原でだ。
葉巻ずきな大磯のおやじさんから――これは今ちゃんの借言で、つまり大磯の吉田前首相のことであるが――葉巻のいいのが入った、煙草ずきのお前にも分けてやる、取りに来ないか、との便りだったそうである。事の発端、以上であった。
葉巻は貰ったのか貰わずにしまったのか、話の筋からは消えてしまう。要は、今、吉田の両所ともウィスキーの大酔に半日半夜を放談にすごしてしまった。吉田さんはつよいのだそうだ、いつまで崩れない寛々呵々たるものだったらしい。今ちゃんはもうわからない。這い上ったのが自分の家とわかり、送ってくれたのが石井光次郎夫人とわかっただけだった。