Japanische Klassiker mit Furigana
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こうばいのきゃく
紅梅の客
吉川 英治
Lesen Sie 紅梅の客 (こうばいのきゃく) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.574 Zeichen · 15 Bildschirme
然しこれはめずらしくも何ともない。
事は数日後であった。石井夫人からの電話では彼もどきっとしたらしい。『ほんとにあなた、吉原へご案内して下さるおつもり。大磯では、とても愉しみにしてるんですのよ。そしてさっそく日をきめようって仰っしゃっているんですが』『へ。何かぼくが約束したんですか』『あら、仰っしゃったのよ。政治家のくせに吉原の果ても知らないかって。そしてぼくが連れて行ってやるって』『言ったのかなあ、そんなこと』『取消す、あやまる』『いや言ったのならぼくだって男ですよ。連れて行きますよ』『じゃあ何日』『日はそっちできめて下さい、用意はぼくがしておくから』。今ちゃんの当夜の大言ぶり思うべしである。また忙がしいのに、なんとご苦労さまなことでもあった。
昔なじみの桜川三孝はまだ吉原に、達者でいる。席を頼むと、いぜんの引手茶屋でも青楼でももちろんないが、松葉屋なる名だけは、看板を更えて残っているという。日を期して『さあ、いらっしゃい』と、大磯と石井夫人を招待したものである。ところが稀ゝ、吉田さんがこの催しあるを、久原房之助にはなしたらしい。すると久原老も『吉原という古蹟へは、自分も三十歳ぐらいなとき一度行ったきりで、以後の変遷も見ていない。