Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
もんつきをきるのき
紋付を着るの記
吉川 英治
Lesen Sie 紋付を着るの記 (もんつきをきるのき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.454 Zeichen · 5 Bildschirme
たまにシマのズボンをはくこともないではないが、冠婚葬祭、私はたいがいなばあい平服でとおしている。けれどこんどの授賞式では恒例モーニング、あるいは紋付という成規になっている。文部省から十一月三日当日の内達に接しると妻はさっそくこれに気をもみ出した。私のモーニング嫌いを知っているし、また私の紋付姿などは彼女も見たことが無いはずで、家族らの古い写真帖の中にも私が紋付を着たのなどは一枚も貼ってない。だからどっちみち新調しなければならないらしく、どっちにするかを案じるのだった。
しかし、たんすの底には、永いこと眠っている一着の紋付があるにはあると妻がいうので、ではそれにするかと見させたところが、紋は茶色に変っていてとても着られませんという。なるほど、忘れ果てていたほど遠い年月以前の物にちがいないし、また何かの必要でそれを拵えたときも、私は袖も通さずつい仕舞い込んでしまったものであったろう。とかく私は人の紋付姿を見るのは決してわるい気がしないし、わけて婦人の紋服などはたいへん好ましく感じるのであるが、自分が着るか着ないかのだんになると妙にこだわって数十年来ついぞそれは着用することなく過ぎていたのであった。