Japanische Klassiker mit Furigana
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むらさきだいなごん
紫大納言
Lesen Sie 紫大納言 (むらさきだいなごん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.899 Zeichen · 26 Bildschirme
償いは、私が、地上で致しましょう。忘れの川、あきらめの野を呼びよせて、必ず涙を涸らしましょう。あなたの悲しみのありさまあなたの涙を再び見ずにすむためならば、靴となって、あなたの足にふまれ、花となって、あなたの髪を飾ることをいといませぬ」
天女は、さめざめと泣いていた。
大納言の官能は一時に燃えた。思わずうろたえ、祈る眼差で、天をさがした。天もなく、月もなかった。あるものは、貧しい家の、暗い、汚い、天井ばかり。かすかな燈火がゆれていた。くらやみへ、祈る眼差を投げ捨てた。あたりが一時に遠のいて、曠野のなかに、心もなかった。血が、ながれた。大納言は、天女にとびかかって、だきすくめた。
大納言は、夜道へさまよい落ちていた。
夢の中の、しかと心に覚えられぬ遥かな契りを結んだことが、遠く、いぶかしく、思われていた。それは悲しみの川となり、からだをめぐり、流れていた。
月はすでに天心をまわり、西の山の端にかたむいていた。
無限の愛と悔いのみが、すべてであった。それはまた、心を万怒に狂わせた。あらゆる罰を受けるために、その身を岩に投げつけたいと思いもした。
「天よ。