Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むらさきだいなごん

紫大納言

坂口 安吾

Lesen Sie 紫大納言 (むらさきだいなごん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.899 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして、顔中、皺である。動作は、甚だ下品であった。正視に堪えぬ思いがした。

と、ひょいと童子の立上るのを見た筈だったが、そのとき童子はにやりと笑い、目も鼻も大きな口も、突然ひとつにグシャグシャちぢんだ筈だった。とたんに、するりとからだがすぼんで、童子の姿は忽然地下へ吸いこまれた。一瞬にして、姿もなく、あとに残る煙もない。あとにひろがる叢の上に、この季節にはふさわしからぬ大きな蕈が残っていた。

大納言は呆然として、目を疑った。彼は思わず這いよって、蕈にさわってみようとした。

突然四方に笑声が起った。

大納言は驚いて顔をあげたが、笑う者の姿はなかった。笑いは忽ち身近にせまり、木の根に起り、また、足もとの叢に起った。いつか遠く全山にひろがりわたり、頭上の枝から、また、耳もとから、げたげたひびいた。

大納言はからだの痛みを打ち忘れて、とつぜん立って、逃げようとした。然し、傷ついた全身は、咄嗟の恐怖にはじかれてすら、なお、思うようには動かなかった。つまずいて、立ちあがり、また、つまずいて、からくも立ちあがることを繰返すうちに、再び意識を失って、冷めたい木の根に伏していた。