Japanische Klassiker mit Furigana
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さいきこうい
細木香以
Lesen Sie 細木香以 (さいきこうい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.332 Zeichen · 45 Bildschirme
巽育の豊花が甲走った声に誘われて、無遠慮な男女は廊下に集まり、次の間の障子は所々濡らした指尖で穿たれた。
この時留女として現われたのは芸者きわである。豊花と鶴彦とを次の間に連れて往って、小稲花鳥へ百両ずつの内済金を出すことに話を附け、それを香以に取り次いだ。しかし香以の懐には即金二百両の持合せがなかった。
きわは豊花を待たせて置いて、稲本を馳せ出で、兼て香以の恩を受けた有中、米八、権平等を座敷々々に歴訪して、財布の底をはたかせたが、その金は合計五十両には足らなかった。きわは高利の金を借りて不足を補った。
香以は闇に紛れて茶屋へ引き取り、きわには辞を尽して謝し、「金は店からすぐ届ける」と云い畢って四手に乗り、山城河岸へ急がせた。
これは香以が三十八歳の時の事であった。この年三月二十三日に、贔屓役者七代目団十郎の寿海老人が、猿若町一丁目の家に歿した。香以は鶴寿と謀って追善の摺物を配った。画は蓮生坊に扮した肖像で、豊国がかいた。香以の追悼の句の中に「かへりみる春の姿や海老の殻」と云うのがあった。
文久元年の夏深川に仮宅のある時であった。香以は旧交を温ねて玄魚、魯文の二人を数寄屋町の島村半七方に招いた。