Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

「井谷さんが持って来やはった話やねんけどな、―――」

「そう、―――」

「サラリーマンやねん、MB化学工業会社の社員やて。―――」

「なんぼぐらいもろてるのん」

「月給が百七八十円、ボーナス入れて二百五十円ぐらいになるねん」

「MB化学工業云うたら、仏蘭西系の会社やねんなあ」

「そうやわ。―――よう知ってるなあ、こいさん」

「知ってるわ、そんなこと」

一番年下の妙子は、二人の姉のどちらよりもそう云うことには明るかった。そして案外世間を知らない姉達を、そう云う点ではいくらか甘く見てもいて、まるで自分が年嵩のような口のきき方をするのである。

「そんな会社の名、私は聞いたことあれへなんだ。―――本店は巴里にあって、大資本の会社やねんてなあ」

「日本にかて、神戸の海岸通に大きなビルディングあるやないか」

「そうやて。そこに勤めてはるねんて」

「その人、仏蘭西語出来はるのん」

「ふん、大阪外語の仏語科出て、巴里にもちょっとぐらい行てはったことあるねん。会社の外に夜学校の仏蘭西語の教師してはって、その月給が百円ぐらいあって、両方で三百五十円はあるのやて」

「財産は」

「財産云うては別にないねん。