Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
などした。悦子は、明日ゆっくり会えるのだからと、皆がすすめて、どうしても待っていると云って聴かないのを、漸く九時半頃にお春に云いつけて二階へ連れて行かせたが、間もなく表門のベルが鳴って、犬が其方へ走って行く足音を聞くと、
「あ、姉ちゃんや」
と云って、又降りて来てしまった。
「お帰り」
「お帰りなさいませ」
「只今」
ジョニーが喜んで跳び着こうとするのを、「これッ」と云って制しながら玄関の土間に立った雪子は、衣裳鞄を持たせられて後から這入って来た妙子の、近頃殊に張り切っている血色に比べると、汽車の疲れで、顔に著しい窶れを見せていた。
「お土産何処に這入ってるのん」
と、悦子は早くも自分で鞄を開けて、中を調べ始めたが、一束の千代紙とハンカチの箱とを直ぐ見つけ出した。
「悦ちゃんこの頃ハンカチの蒐集してるのんやてなあ」
「ふん、有難う」
「まだもう一つあるわ、その下の方見て御覧。―――」
「あった、あった、これやろ」
そう云って悦子は、銀座の阿波屋の包紙に包んである箱を取り出したが、中から出て来たのは紅いエナメルの草履であった。
「まあ、ええこと。穿き物は矢張東京やわなあ。―――」