Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
そんな風だから、牛肉と云ったって鋤焼などはめったに食べられず、僅かに肉の切れっ端が一片か二片浮いているようなものばかりを食べさせられる。それでもたまに子供たちが一立て済んでから、大人たちだけ別な献立で、兄さんの相手をしながらゆっくり夕飯を楽しむ折があって、鯛は東京は駄目だとしても、赤身のお作りなどが食べられるのはまあそんな時だけであるが、それも実際は、兄さんのためと云うよりは、夫婦があたしに気がねして、いつも子供たちのお附合いばかりさせて置いては雪子ちゃんが可哀そうだから、と云うようなことであるらしい。―――
「姉ちゃん等の様子見てたら、そうやないやろか云う気イするねん。………まあ、見てて御覧、あの家変れへんよってに」
「ふうん、そうかなあ。東京へ行って、すっかり姉ちゃん等人生観が変ってしもたんかなあ」
「そら、雪子ちゃんの観察が或は当ってるかも知れん」
と、貞之助も云った。
「東京へ移住したのを機会に、今迄みたいな虚栄心を捨てて大いに勤倹貯蓄主義で行こう。―――兄さんやったらそんな考になるのんも無理のないとこやし、誰に聞かれても結構なことやないか。あの家かて、狭いことは狭いけど、辛抱しょう思えば出来んことはないさかいにな」