Japanische Klassiker mit Furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme
そして、いつでも、松濤アパートの妙子を電話へ呼び出して、落ち合う先を打ち合せてから、いそいそと出かけて行くのがさも楽しそうで、縁談のことなど全く念頭にないようであった。
雪子に始終引っ張り出される妙子は、時々幸子の枕もとへ来て、近頃仕事が忙しいのに、午後の一番大切な時刻にこう頻繁に附合いをさせられるのは叶わない、と云った風な不平を遠廻しに洩らしたが、或る時やって来て、
「昨日おかしなことがあってんわ」
と、次のような話をした。―――
昨日の夕方、雪姉ちゃんと元町を歩いて、スズランの店先で西洋菓子を買っていると、雪姉ちゃんが俄に慌て出して、「どうしょう、こいさん、―――来たはるねんわ」と云うのであった。「来たはるて、誰が来たはるねん」と聞いても、「来たはるねんが、来たはるねんが」と、ソワソワしているだけなので、何のことやら分らずにいると、奥の喫茶室で珈琲を飲んでいた一人の見馴れない老紳士が、その時つかつかと雪姉ちゃんの所へ立って来て、慇懃に挨拶をして、「如何です、お差支えなかったら彼方でお茶でも差上げたいと存じますが、ちょっと十五分ばかりお附合いになって下さいませんか」