Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 細雪 (ささめゆき) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 150.580 Zeichen · 287 Bildschirme

Aozora Bunko

、大人たちは皆可笑しがった。そしてどうしても犬や猫のようには人情が添わず、人間とは全く関係のない、何かピクピクした奇妙な存在であると云う感じしか湧かなかった。

悦子が綴方に書いたのはこの兎のことなのであった。雪子は毎朝、悦子を起して朝飯の世話をしてやり、鞄の中を調べた上で学校へ送り出してやってから、もう一度寝床へ這入って温まるのであるが、その日は晩秋の寒さが沁みる朝だったので、寝間着の上に羽二重のナイトガウンを羽織り、鞐も掛けずに足袋を穿いたまま玄関まで送って出ると、悦子がしきりに兎の一方の耳を持って立てようとしていた。そして、いくら立てても其方の耳が立たないので、「姉ちゃん、やってみてえな」と云った。雪子は悦子を遅刻させないために、早く手伝って立ててやろうと思ったけれども、そのぷよぷよした物に手を触れるのが何となく無気味だったので、足袋を穿いている足を上げて※の股に耳の先を挟んで摘み上げた。が、足を放すと、直ぐ又パタリと兎の横顔の上へその耳が垂れて来るのであった。

「姉ちゃん、何で此処いかんのん」

悦子は明くる朝、綴方が直されているのを見ると云った。