Japanische Klassiker mit Furigana
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ままこ
継子
夢野 久作
Lesen Sie 継子 (ままこ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.364 Zeichen · 25 Bildschirme
どこか遠くで一つか二つか鳴るボンボン時計の音を聞くと、睡むられずにいた玲子はソッと起上った。
屋根裏の窓に引っかかっている春の夜の黄色い片割月を見上げながら、洗い晒しの綿ネルの単衣一枚に細帯を一つ締めて、三階の物置の片隅に敷いてある薄ッペラな寝床から脱け出した。鼻を抓まれてもわからない暗黒の中を素跣足の手探りに狭い梯子段を二階のサロンに降りて来た。
……この頃来なくなっている玲子の家庭教師の大学生、中林哲五郎先生に昨日の昼間、速達で出した手紙の文句を思い出しながら……。
中林先生。早く玲子を助けに来て下さい。
今のお母さんが去年の十二月にいらっして、先生が私の家に来て下さらなくなってからというもの玲子は泣いてばかりおりますの。先生がよく玲子にお話して聞かして下すった西洋の探偵小説とソックリの怖い怖い悲しい悲しいことばかりが玲子の家の中一パイに渦巻いております。
去年からコカイン中毒になって弱っておいでになったお父様が、二三日前に急に思い立って信州へ鳥の研究にお出かけになってからというもの、そんな怖い悲しいことが急に私のまわりに殖えて来ました。ですけども詳しいことは書いている隙がありません。