Japanische Klassiker mit Furigana
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ぞくごくちゅうき
続獄中記
大杉 栄
Lesen Sie 続獄中記 (ぞくごくちゅうき) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.326 Zeichen · 49 Bildschirme
もう幾年も連れ添って見あきるほど見た顔だのに、黙ってその顔を眺めているだけでもいい気持だ。眼のふちの小皺や、まだらになった白粉のあとまでが艶めかしい趣きを添える。
僕の故郷
こんなちょいちょいしたエピソードのほかには、うちにいる間は、読書か思索か妄想かのほかに時間の消しかたがない。
読書にも飽き、思索にも飽きて来ると、ひとりでに頭が妄想に向う。それも、そとの現在のことはいっさい例の無意識的にあきらめて、考えても仕方のない遠い過去のことか、出獄間近になれば出てからの将来のことなどが思い浮べられる。
現在の女房のことでも、面会に来るか手紙が来るかの時でもなければ、それも二カ月に一度ずつしかないのだが、滅多には思い出さない。そして古い女のことなぞがしきりに思い出される。
元来僕には故郷というものがない。
生れたのは讃岐の丸亀だそうだ。が、生れて半年経つか経たぬうちに東京へ来た。そして五つの時に父や母と一緒に越後の新発田へ逐いやられた。東京では父は近衛にいた。うちは麹町の何番町かにあった。僕はその近衛連隊の門の様子と、うちの大体の様子と、富士見小学校附属の幼稚園の大体の輪画とのほかには、ほとんど何の記憶もない。