Japanische Klassiker mit Furigana
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みどりのめ
緑の芽
佐左木 俊郎
Lesen Sie 緑の芽 (みどりのめ) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.815 Zeichen · 10 Bildschirme
が、母は、彼女の真実の母でないという遠慮から、彼女を起こしに行くだけの大胆さはなかった。祖母はまた、軒の下や庭に散らばっている塵を掃き蒐めながら、揺り起こしに行こうか、いま揺り起こしに行こうかと思いながらも、また一方では、自分の娘以上に手をかけて育てた子供だけに、ただの一分間でも余計にじっと寝かして置きたいような気がした。
「本当に、今時の娘達は気儘なもんだ。」
祖父はとうとう独り言を始めた。
「夜は夜で、夜業もしねで、教員の試験を受けっとかなんとかぬかして、この夜短かい時に、いつまでも起きてがって、朝は、太陽が小午になっても寝くさってがる。身上だって財産だって、潰れてしまうのあたりめえだ……」
彼女の継母は、祖父のこの呟きを、快く聞き流しながら、背中に小さな子供を不格好に背負い込んで囲炉裏で沢山の握り飯を焼いていた。
祖母は戸外から這入ってきて、あまりにも口やかましい祖父に、不機嫌な視線を投げかけた。併し、祖父はそれどころではなかった。もう既に焼き飯も焼けているのに、菊枝が起きてこないと言うだけのことで、魚を漁りに行く時間が遅くなるのに、まだ朝飯にならないのだから。