Japanische Klassiker mit Furigana
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りょくいのおんな
緑衣の女
松本 泰
Lesen Sie 緑衣の女 (りょくいのおんな) von 松本 泰 (まつもとたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.168 Zeichen · 25 Bildschirme
そして間をおいて青白い瓦斯燈の点っている右側の敷石の上を歩いてゆくと、突然前方の暗闇から自動車が疾走ってきて、彼の横を通り過ぎた。彼はびっくりして目をあげた瞬間、彼は確かに車内にいた三人の姿を認めたのである。それはいう迄もなく、V停車場で見かけた一行で、五十恰好の婦人を真中に、モーニング姿の男と、グヰンが腰をかけていた。グヰンは泉原の立っている方に近い、向って右手の席に就いていた。自動車はまたゝくうちに遠くなって、闇中に姿を没して了った。
泉原は唖然として暫時路傍に立竦んでいた。V停車場で見かけたのは確かにグヰンである。それにしてもグヰンは何故に都の避暑客の集っているこのマーゲートへきたのであろう。而も一時間も前に同じ汽車でこの土地に着いていながら、今迄何処にいたものであろう。そして最も訝しいのはグヰンの服装が停車場で見た時と異っていた事である。彼女は白いブラウスの上に、真紅い目の醒めるようなジャケツを引かけていた。それよりも尚泉原の心をひいたのは、心持ち唇をかむようにして、じっと空間を見据えている彼女の横顔であった。泉原は一緒に暮していた経験から彼女の癖をよく知っていた。