Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょくいじんでん

緑衣人伝

田中 貢太郎

Lesen Sie 緑衣人伝 (りょくいじんでん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.103 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

「でも、決して禍をする者ではありません、あなたと私とは、夙縁があります」

源は夙縁とはどんなことであろうかと思った。

「それを聞かしてください」

「私は宋の賈秋壑の侍女でございます、もと臨安の良家に生れた者でございますが、少さい時から囲碁が上手で、十五の春、棊童ということで、秋壑の邸に召し出されて、秋壑が朝廷からさがって、半閑堂で休息する折に、囲碁の相手になって、愛せられておりました、その時、あなたは、蒼頭職主で、いつもお茶を持って奥へまいりましたが、あなたはお若くて美しい方でした、そのあなたを私が想うようになりました、ある晩、暗い所で、あなたをお待ちしていて、綉羅の銭篋を差しあげますと、あなたは私に、瑁の脂盒をくださいました、二人の間は、そうした許し合った仲になりましたが、奥と表の隔てがあって、まだしみじみとお話もしないうちに、朋輩に知られて、秋壑に讒言せられましたから、私とあなたは、西湖の断橋の下へ沈められました、それでも、あなたは、もう再生して人間になっておりますが、私はまだこうしております」

少女は絶え入るように泣いた。源は少女を抱きかかえた。