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Japanische Klassiker mit Furigana

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うつくしいにほんのれきし

美しい日本の歴史

吉川 英治

Lesen Sie 美しい日本の歴史 (うつくしいにほんのれきし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.561 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

然し良吏の話は話題として伝播性がないのである。現代にも良吏はいよう。いるにはちがいないのだが、良吏は決してニュースにならない。

「窓のすさみ」に一つ見える。

寛永年代、阿部豊後守忠秋が執政だったころ、江戸府内で鶉を飼うことがたいへん流行した。万年青、さっき、鶉などの流行は周期的世相らしく大正、昭和初期頃にもその例は度々あった。

忠秋もつい流行にかぶれて、鶉を飼った。流行とは近時のゴルフのようなものである。魅了されるとそれの長所だけしか考えられない。忠秋もそうだった。劇務の寸暇に美声を愉しむ。雛鳥の飼育に無情のほほ笑みを禁じ得ない。君子の清雅であるとさえ思っていた。

すると或る朝。柳営御用達の金持の主が彼の私邸をおとずれた。かくべつな用談ともみえず、唯、

『いや、飼ってもみぬ手輩は、岡焼き半分に、鶉狂だの、流行り病の一つだのと、ろくな陰口は申しませんが、やってみれば、もうそれは……』と、この男もまた言うことは、鶉の知識やら自慢やらで、目も鼻もない方なのだった。

のみならず、やがて持参の一ト番の鶉籠を、忠秋の前へさしおいて、

『これはまあ、自慢がましゅうございますが、天下一の名鶉とも申せようかと存じます。