Japanische Klassiker mit Furigana
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うつくしいむら
美しい村
堀 辰雄
Lesen Sie 美しい村 (うつくしいむら) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.946 Zeichen · 84 Bildschirme
爺やはときどき羊歯を植えつける場所について私に助言を求めた。その度毎に、私の胸はしめつけられた。
一通りみんな植えつけてしまうと、爺やは私のそばに腰を下ろした。私の与えた巻煙草を彼は耳にはさんだきり、それを吸おうとはせずに、自分の腰から鉈豆の煙管を抜いた。
私はふだんの無口な習慣から抜け出ようと努力しながら、これもまた機嫌買いらしい爺やを相手に世間話をし出した。
「爺やさん、峠の途中に気ちがいの女がいるそうだけれど、それあ本当なのかい?」
「へえ、可哀そうにすこし気が変なんでございますよ、――先にはうちでもちょいちょい何かくれてやりましたもので、よく山からにこにこしながら、いろんな花を採って来てくれたりしましたっけが。……ただ、そいつの亭主というのが大へんな奴でしてね、こっちからわざわざ何か持って行ってやったりしますと、いつも酔払っていちゃあ、『くれるというものなら貰っといたらいいじゃねえか』と、嬶の気の毒がるのを叱りつけようてった調子なんですからね。……それで、こっちでもだんだん情が通わなくなって来て、この頃じゃ、もう、ちっとも構いませんです」
「何だってね、――その気ちがいって、ときどき川のなかへ飛び込むんだってね?」